2009-05-31
2009-05-22
青春
心がぽつねんとして独り寂しく溜っている 相変わらず思考や感覚は私のからだに留まり 二度とは触れ得ぬ想い出の頁を手繰るのや 次々に過ぎ去ってゆく文字の手応えを辿ることで忙しい 少し離れた処で独り寂しく溜っているあの心は 人と人との間に生まれてよりずっと 互いに触れあい交らうことの悦びを頑なに拒みつづけた手や足や心臓を繁殖させもしながら 脈を打つ膜越しの緊張によって 数秒間隔の刺戟で放出される軌跡を色濃くイメージさす それは男であること女として育ったこと みな哀しいさだめと青い樹木の森に遊んだ日々の標であり 野辺は蒲公英と少女たちの鮮やかに映える風景を背にして 季節のために相応しい名を与えることができない男の姿を立ち上がらせた 険しく切り立った峯 その向うに靡く空は ようやく青春の色を帯びて匂いたつ
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