2009-05-31

燕土

我が廟門を過ぎるとき 肚腑に熾る鈍い痛みの塊は 湿地に残された乾土の島を喚起させる 草も無く 生き物もなく 地熱の立ち上る穢土が広がる 空は低く 湿った雲は厚く垂れ 閉塞された内面の感覚によって充足する 湿泥に棲息する両生の類は愉楽に歪む事なく空を仰ぎ取囲んでいる 頭上から降る燕戸の屑 潮騒を聞きながら 成る程此所は確かに海に近い そうしてまた廟柱の青錆の奥の朱を指の肚の先の肌で愛撫しようとしている