2008-12-21

帰る場所

書かれたモノ・コトのかえる場所がいま生きている人間だった、面識のない、ゆかりのない魂だった、だからいまは輪郭のしっかりした魂の話がしたい古い墓をあばくような黄金の、コトバ、律動、化石の卵からとろとろと流れ出る生きた死者との邂逅、生前の事は語らず、ただ微かにふるえているその書かれたモノ・コトは、薄暗い勝手場の隅の古い竃の蒸籠のなかで孵化する魂とともに息衝く。外は夥しい昼の世界。家の中を風が通り抜けてゆく。ふと背後の本棚に気配する。

2008-12-06

午前、或いは午後

酩酊している人類史の明るみのなかで、反古にしては居ないか、おざなりになって居やしないか、路の両袖に立ち並ぶ塑像の問いが導く先にウェザーリポーツ呼び出した気持ち雲がすばやい。向こうは既に森も土もなく、ただ斬りつけた幹から流れ出た漆を掬う仕事の手際よさを浮べている。土曜日曜ならまだ容易い。街では品が求められるのだから。尚の事、皆正面ばかり枯れて甃は痛むので、やって来た方角を辿りその場を後にすることにした。