2010-01-26

宴謡

水の郷 凪がれるみづのせせらぎかろく 月はあおく水面に揺れる 叢の蔭間に蛍灯またたき 蛇淫を宿したふくよかな操は感色の果てで透き通る 一本の髪一枚の爪にいたり 精夢に浸り溺れている 内蔵はえんえん重みを増す一個の果肉をうけとめる 眠りの淵でふたたび結ばれる 引き起こされる痙攣は感覚をともなわぬ 濡れ契り沈みの底でたゆたうみずくさ かわいた歯に張りついたくちびるが誘う夜 無数の星が落ちるのを見開いた眼が見つめている